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“有事の金”は真実か?リーマン・ショック時の値動きから徹底検証

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“有事の金”は真実か?リーマン・ショック時の値動きから徹底検証

「戦争や不況が起きると金の価格が上がる」という話を耳にしたことがある人は多いでしょう。これは、通貨価値の低下などが懸念される状況において、比較的リスクの少ない資産とされる金の需要が高まる“有事の金”現象として知られています。近年はリーマン・ショックにはじまり、新型コロナウイルスによるパンデミックやウクライナ侵攻など情勢が大きく揺れ動く出来事が続きましたが、こうした歴史的局面において株価と金価格はどのような値動きをみせたのでしょうか。はたして金は本当に“資産の守り神”なのか、今回はリーマン・ショック期の動きを手がかりに、その実力を冷静に分析します。

リーマン・ショック時、実は金価格も一時的に下がっていた

「リーマン・ショック」とは、2008年9月に起こった金融危機の総称です。アメリカの大手投資銀行「リーマン・ブラザーズ」が、総額約6,000億ドルもの多額の負債を抱え経営破綻したことが引き金となって発生しました。

この背景にあったのが、「サブプライムローン」と呼ばれる低所得者層向けの住宅ローンです。アメリカ国内で住宅バブルが崩壊し、サブプライムローンをはじめとしたローン延滞率が急増したことで、リーマン・ブラザーズを含む大手金融機関の経営が悪化。その影響はアメリカ国内にとどまらず世界中へ波及し、深刻な金融不安を招きました。

内閣府の発表によれば、当時は日本でも株価が暴落。2009年3月にアメリカの金融機関が決算を公表し、経営不安が徐々に後退するまで、株価がなかなか持ち直さない軟調な相場が続きました(※)。

では、こうした株価の大幅な下落があった一方で、金価格はどのように変化したのでしょうか。

実は金価格も、リーマン・ショック直後は一時的に急落しました。リーマン・ショック後の2008年10月には、国内金価格は最安値の2,104円にまで下落しています。

金価格下落の理由と、その後の回復を後押しした要因

リーマン・ショック時に金価格が急落した主な原因は、一時的に金の売却が殺到したためです。投資家が現金確保を最優先したことで、保有していた金を手放す動きが広がりました。

市場全体に深刻な経済不安が生じるなか、投資家だけでなく金融機関も資金繰り悪化への対応として金を売却する必要に迫られるなど、複数の要因が重なって金の売りが増えたと考えられます。

ただし、この下落はあくまで一時的なものでした。翌年の2009年以降、金価格は再び上昇し、2011年9月には海外金価格で約1,900ドルという史上最高値を更新。日本国内でも金価格は4,700円台まで上昇し、リーマン・ショック直後の水準から2倍以上の値をつけています。

なお、「田中貴金属」が公表した2008年10月のマーケット市況データによると、アメリカの中央銀行である「FRB(連邦準備制度理事会)」はリーマン・ショック後に金融緩和政策を実施。主要国の中央銀行もそろって金利を引き下げる“協調利下げ”に踏み切りました。

その結果、こうした政策がかえって金融不安を強め、金を買う動きを後押ししたと分析されています。

世界的な金融危機で経済が混乱するなかでも金価格が上昇していったという事実は、“有事における資産”としての金の安定性が改めて評価されたことの表れだといえるのではないでしょうか。

円安が金価格に与える影響…「ドル建て」と「円建て」の比較

日米金利差の大幅な拡大や国際競争力の低下などを背景に、日本は近年、歴史的な円安局面にあります。2024年に1ドル160円台を記録すると、その後も140~150円台で推移。2026年には再び160円を突破し、現在に至るまで円安基調が続いています。

円安が進むと、外国通貨での支払いが相対的に割安になるため、海外からの旅行客を呼び込みやすくなったり、輸出企業の売上が伸びやすくなったりといったメリットがあります。

その一方で、輸入品の価格や輸入コストは上昇するため、国内では物価高になるリスクが高まります。また、日本から海外旅行へ行く際は、円高のときに比べて旅費がかさみやすい点もデメリットです。

こうした円安の影響は、金の取引においても無関係ではありません。金価格には、国際的な基準である「ドル建て」と、ドル建て価格に為替レートを反映させた国内基準の「円建て」の2種類があります。日本円で金を購入する際には、この円建て価格が基準となります。

また、ドル建て価格で用いられる金の単位は「g(グラム)」ではなく「toz(トロイオンス)」で、1トロイオンス=31.1034768gです。たとえば為替レートが1ドル=150円で、金のドル建て価格が1トロイオンスあたり5,000ドルの場合、円建ての税抜き小売価格は1gあたり約2万4,088円となります。

円建て価格はドルに対する円の価値に左右されるため、「ドル高・円安」の局面では金価格は上昇しやすく、逆に「ドル安・円高」になると金価格は下落しやすくなります。

国内で金をなるべく安く購入したい場合は、円建て価格だけでなく、為替相場の状況も把握しておくことが重要です。

「攻めの株と守りの金」で上手にリスク分散

資産運用において、株式投資が有力な手段のひとつであることは間違いありません。利益が出る仕組みを理解し、社会のトレンドを見極めながら適切に取り組めば、効率よく資産を増やすことができます。

ただし、株式投資には大きな損失を被るリスクもあり、確実に利益が得られるとは限りません。安定した資産形成を目指すのであれば、攻めの姿勢だけでなく、守りを固めることも重要です。

そこで注目されるのが「金投資」です。実物資産である金は、長期的に価値を維持しやすい点が特徴的です。投資先企業の破綻によって価値が失われる可能性がある株式と比べると、金は安定して保有できる資産です。リーマン・ショックのような世界規模の有事にも強く、万が一の際のリスクヘッジとして役立ちます。

ちなみに、資産運用におけるリスク分散のセオリーとして、実物資産であるゴールドの保有比率は「全資産の10~15%程度」が理想的と少し前はいわれてきましたが、昨今の情勢から「資産の半分は金で」という専門家もいます。貯金や株式、不動産など他の資産と組み合わせ、バランスよく分散させることをおすすめします。

歴史的にみても“有事の金”はたしかに頼りになる存在ですが、あくまでも数ある選択肢のひとつです。金の資産価値を最大限に高めるためにも、「攻め」と「守り」を意識した運用を取り入れてみてはいかがでしょうか。

〈出典〉
※ 内閣府「平成21年度 年次経済財政報告」
https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je09/09b02010.html

 

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