Gold Link
  1. HOME
  2. ゴールドコラム
  3. 投資記事一覧
  4. 宝飾品・投資用だけではない…世の中のハイテク化で需要増?「ス...

宝飾品・投資用だけではない…世の中のハイテク化で需要増?「スマホ」「EV」「AI」が支える「金(ゴールド)」の未来と産業需要

公開: 更新:
宝飾品・投資用だけではない…世の中のハイテク化で需要増?「スマホ」「EV」「AI」が支える「金(ゴールド)」の未来と産業需要

古くから、その輝きで多くの人間を魅了してきた「金」。宝飾品や投資用だと思われがちですが、実はあなたの持っているスマートフォンやPCのなかにも金が入っていることをご存じでしょうか。金は錆びないうえに優れた電気伝導性を持つ、最強の「工業用素材」でもあるのです。そこで今回は、今後AIサーバーや電気自動車(EV)が普及することで金の需要はどう変わるのか、産業界から見た金の「底堅さ」を解説します。

貴重で高価な「金」がスマホの基板に使われる理由

通話やメール、インターネットや写真撮影など、さまざまな役割を果たすスマートフォン。こうした多彩な機能を支えているのが、スマホの頭脳と呼ばれる「CPU」です。CPUはシステム全体の処理を担うパーツで、性能が高ければ高いほど処理能力が上がり、複雑な動作を可能にします。

その重要なCPUを載せている板状の部品「基板」の材料に、金が使われていることをご存じでしょうか。

基板だけではありません。実はICチップやカメラなど、スマートフォンのさまざまな部品に金が使われています。PCでも同様に、金や銀といった貴金属が用いられており、さらにパラジウムやニッケル、タンタルといった、希少性が高く再生産が非常に難しい「レアメタル」も含まれています。

接触抵抗が低く、安定した電導性を保てる

レアメタルはもちろん、金も埋蔵量に限りがあるため高価な資源です。それでもスマホやPCといった供給量の多い電子機器に金が使われるのは、接触抵抗が低く、安定した電導性を保てるためです。

腐食や酸化に強く、耐食性に優れている

また、金は腐食や酸化に強く、耐食性に優れています。金より安価で導電率の高い銀や銅は、空気中の酸素や硫黄と反応して錆びやすいという弱点があります。そのため、データ通信のスピードや精度が重要な電子機器類には、金の性質は非常にマッチしているのです。

柔軟性があり加工しやすい

さらに、柔軟性があり加工しやすい点も、金がものづくりの現場で重宝される理由のひとつです。こうした特性から、スマホやPCだけでなく、近年普及が進む電気自動車(EV)でも金が重要な素材として活用されています。

使わなくなったスマホやPCの山…資源に乏しい日本は“都市鉱山大国”だった

自宅に古いスマホやPC、ゲーム機、テレビなどをしまい込んだままにしている人は多いのではないでしょうか。環境省によれば、日本では1年間に約65万トンもの小型家電が廃棄されているといいます(※1)。

一見すると使い道のない不用品のように思えますが、ここまでみてきたように電子機器や家電製品はまさに“資源の宝庫”です。こうした身近にある貴金属を含む製品は「都市鉱山」と呼ばれ、いまリサイクル可能な資源として注目を集めています。

地下資源に乏しい日本ですが、都市鉱山として国内に蓄積されている金の量は約6,800トンと推計されており、これは世界の埋蔵量の16%にあたります。これは資源大国並みの規模といえます。

「都市鉱山」リサイクル進むも、回収率低下に課題

実は、「東京2020オリンピック・パラリンピック」で使用されたメダルも、使用済みスマホや小型家電など、都市鉱山から回収された金属で作られたものです。

2016年には東京五輪に向け、小池百合子都知事がXで「メダル5,000個に必要な『都市鉱山』は携帯で最低500万台」とポスト。自身も使わなくなった携帯電話を3台所有していると明かしたうえで、都庁に回収ボックスを設置したことで話題になりました。

また、携帯電話・PHSのリサイクルに取り組む一般社団法人 電気通信事業者協会では、「モバイル・リサイクル・ネットワーク(MRN)」を通じてこれまでの22年間で約1億5,000万台の端末を回収しています。

しかしここ10年は、使わなくなったスマホをサブ機として保管したり、リユース向けに売却したりする人が増えたことが影響し、回収率が減少傾向にあるようです。

新規需要が拡大する一方で、リサイクルによる供給だけでは追いつきにくい難しい局面を迎えているといえます。

「半導体産業の成長=金価格」の下支え?…投資家が注目すべき産業データ

世界の主要半導体メーカー50社が加盟する「WSTS(世界半導体市場統計)」は、2025年12月に2026年の世界半導体市場予測を発表。前年比+26.3%という高い伸びが見込まれ、成長の加速が予測されています。

2023年はマイナス成長だった世界半導体市場ですが、2024年には前年比+19.7%と大きく回復し、その後も3年連続で2桁成長が続いています。

その背景には、生成AIの急速な普及があります。2024年はAI需要を見越したデータセンター投資が拡大し、データを記憶するメモリー製品や演算を担うロジック製品が市場をけん引しました。2025年には大手IT企業によるデータセンター投資が勢いを増し、メモリー・ロジックともに高成長を記録しています。

2026年も、AI向けデータセンター投資ブームは続く見通しです。「SEMI(国際半導体製造装置材料協会)」は、これまで「2030年までに世界半導体市場は未踏の1兆ドルに達する」と予測していましたが、これが大幅に前倒しされ、「2026年内の1兆ドル超え」が現実味を帯びてきました。

AI向け半導体やデータセンターでは、高速処理や電力効率を維持するために金が欠かせません。AI需要の爆発的な増加に伴い、金の産業需要が高まるのは自然な流れといえます。

輝きだけではない…不安定な市場に強く、テクノロジーを支える「金」の強さ

金の魅力は、多くの人を虜にする宝飾品の輝きだけではありません。株式や通貨といった、実体を持たず経済情勢や地政学リスクによって価値が揺らぎやすい金融資産とは異なり、金は形ある実物資産です。それ自体に価値があり、資産保全の手段として優れています。

むしろ、景気が悪化し金融資産が不安定になる局面では、金の価値が上昇することもあります。特にLBMA(ロンドン貴金属市場協会)の厳しい基準をクリアした公認ブランドが製造する金インゴットは、純度と品質が保証されており、永続的かつ高い資産価値を持つことから国際的にも高い人気を誇ります。

さらに金には、今回みてきたように実用金属としてテクノロジーを支え、人類の発展に寄与する重要な素材という側面もあります。

IEA(国際エネルギー機関)は、2050年までに電気自動車(EV)の需要が急増すると予測しました。EVや自動運転など、車のハイテク化が進む自動車産業では、金をはじめとする貴金属が環境性能や信頼性を確保するうえで欠かせない素材となっています。(※2)

膨大な電力と精密な電子部品によって稼働するAIサーバーの普及も進んでおり、こうした産業需要の拡大を背景に、金の価値は今後ますます上がっていくでしょう。

〈出典〉
※1 環境省「エコジン 2017年10・11月号 VOLUME.61」
https://www.env.go.jp/guide/info/ecojin_backnumber/issues/17-11/17-11d/tokusyu/2.html

※2 IEA(International Energy Agency)『World Energy Outlook』
https://www.iea.org/reports/world-energy-outlook-2025

シェアする

人気記事