歯の被せ物や詰め物として使用される「金」。祖父母の遺品に入っていたり、昔治療したものの抜けてしまった「金歯」を保管していたりといった人も多いのではないでしょうか。持っていても再度金歯としては使えませんが、ただの金属ゴミだと思って捨ててしまうのは少し待ってください。その金歯には、数万円~数十万円の値段がつくことがあるかもしれません。金歯に使われる金の純度やその価値、変形していても、樹脂が付いたままでも売れるのかなど、意外と知られていない「口の中の資産」について解説します。
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1gでも1万円以上?治療のための「歯科用合金」の価値
金歯に使われる金は純金(24金)ではなく、歯科用合金と呼ばれる合金です。そもそも純金とは、金の純度が99.9%以上のもの。歯の被せ物として「金」が重宝されるのは安全性と、ある程度の柔らかさがあるため歯にフィットしやすいからです。しかし純金はあまりに柔らかく、歯に詰めたり被せたりしても変形してしまうため、金歯の使用には向いていません。
では、金歯に使われる金はどのくらいの純度なのでしょうか。一般的にはK14~K20が使用されており、K18やK20が多いようです。ちなみにK18は金の含有量が75%、K20は約83.5%。K18は強度が高く、アクセサリーに使われることが多いため、よく目にする人もいるでしょう。そしてK18よりもさらに純度の高いK20は、純度と強度を兼ね備えているのが特徴です。
金歯の買い取り価格は金の純度によって変わりますが、さらに毎日の金相場によっても変動します。K20の場合は1gでも1万円以上~数万円。つまり、重さや金歯の数が増えれば、数十万円の価値になる可能性も。
歯や樹脂がついたものや変形している金歯も売れる?金歯の買い取り事情
家にある金歯が、歯や樹脂が付いたままだったり変形していたりする場合、「これでは価値が下がるのでは?」「買い取ってもらえないのでは?」と遠慮がちになる人もいると思います。
しかし、買い取り業者は付着物を取り除いたあとの金の重量を測定し、金の純度や相場とあわせて査定します。買い取り業者にとってはあくまで「金そのもの」が重要なため、付着物があっても買い取りに問題はありません。また、変形していても金の純度に影響はないので、金歯の状態は査定に響かないことがほとんどです。
とはいえ、査定に出す際にはなるべく金歯をキレイな状態にしておくのが望ましいもの。付着物や汚れを拭き取ったり、自分で変形を直そうとしたり人もいるかもしれません。あまり無理にキレイにしようとすると、かえって金歯を傷つけてしまうことがあるので、柔らかい布で汚れを拭く、歯ブラシで軽く磨くなど軽い清掃に留めておきましょう。
変形や付着物の有無が買い取りに影響がないといっても、買い取り店によっては付着物の除去費用や金の分析手数料が必要な場合があります。「手数料で値引きされて、希望の額より下がってしまった」なんてことにならないよう、事前に買い取り店に確認しておくと安心です。
金歯以外に銀歯もお金になる?「撤去冠(てっきょかん)」の寄付活動と社会貢献
金歯も含め、銀歯や歯科治療で取り外した金属屑のことを「撤去冠(てっきょかん)」と呼びます。撤去冠には金や銀、パラジウムなどの希少金属が含まれ、相場によっては非常に高い値が付く場合も。しかし従来は産業廃棄物として扱われ、多くの撤去冠が捨てられていました。
不純物を取り除き、純粋な金属として生まれ変わらせることで大きな資産となり得る「撤去冠」。そこで最近では、撤去冠をはじめとする歯科金属スクラップの精錬や分析、買い取りを行う業者も出てきています。
撤去冠の売却で得た利益を慈善活動に回す医院もあり、東日本大震災の際には撤去冠を元にした義援金を定期的に被災地へ送る歯科医師会もみられました。
また、日本財団では日本歯科医師会の協賛で、治療で取り外した撤去冠や不要になった入れ歯の寄付を募り、集まった歯科金属をリサイクル。それらを換金して得た資金で、貧困や重い病気と闘う子どもたちを支援する「TOOTH FAIRY」プロジェクトを実施しています。歯科金属を寄付する方法は郵送で日本財団へ送るほか、参加歯科医院へ持ち込むことも可能。参加歯科医院は全国に4,000件以上あるので、かかりつけの歯科に訪ねてみてはいかがでしょうか。
1本からでもOK…金歯の売却方法
金歯1本の査定額は純度や重さ、相場で異なりますが、およそ数千円~数万円。金歯は1本からでも買い取り可能なので、「1本だけだから……」と気後れせずに持ち込んで大丈夫です。
金の買い取りで査定に要する時間は、店頭買い取りの場合で5~30分程度。ただし金歯は付着物の有無などで査定にかかる時間が異なります。金歯の買い取り実績が豊富な業者なら専用の機器で金のみの重量を測定したり、純度を精密に分析したりといったことが可能な場合が多いでしょう。
また、金よりは価格が下がりますが、銀歯も買い取りできる場合があります。銀歯の素材は「金銀パラジウム合金」。前述したように金やパラジウムは希少金属として価値が高いので、銀歯でも買い取りが可能です。銀歯の買い取り相場はおよそ数百円から。ただし入れ歯やクラウンなど、複数の歯にまたがって使われる銀歯はそれだけ重量も多くなるため、比較的高値がつくのではないでしょうか。
金歯の買い取りの方法は主に「店頭買い取り」と、品物を買い取り店に送って査定してもらう「宅配買い取り」、買い取り店からスタッフが派遣される「出張買い取り」の3種類です。どの方法にも一長一短がありますが、売却の際に免許証などの本人確認の提示が義務付けられているのは同じ。忘れないようにしましょう。
ゴミ同然だと思っていた「金歯」が、数万円の価値になることもあります。ただし歯科医院によっては、治療後に抜いた金歯を患者に返却するとは限りません。なにもいわなければそのままリサイクルに出されることもあるため、治療の際には金歯を持ち帰りたい旨をあらかじめ伝えておくことが重要です。
金歯も大事な資産。金の価値が高騰しているいまだからこそ、家に眠っている金歯の価値を一度査定してみてはいかがでしょうか。