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薄さなんと1万分の1ミリ…金沢名物「金箔ソフト」や、奈良時代から「食用金」があった日本の文化から紐解く「金箔」の価値

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薄さなんと1万分の1ミリ…金沢名物「金箔ソフト」や、奈良時代から「食用金」があった日本の文化から紐解く「金箔」の価値

ソフトクリームや料理、お酒といった食べ物のほか、工芸品、高級化粧品などにも使用される「金箔」。“金”であることは間違いないものの、あくまで装飾的な意味合いが大きく、資産としての価値はそれほど高くありません。それでも「金箔」が人々を惹きつけ、豪華さや贅沢感を演出するために重宝されるのはなぜなのでしょうか? その理由は、金の驚異的な「展延性」と、その特徴を最大限に活用する「職人技」、金の持つ「文化的な価値」にありました。今回は、工芸品や装飾品、食品として暮らしを彩る身近な“金”の魅力に迫ります。

「金箔ソフト」に使われる金箔の厚さは1万分の1mm

金箔が用いられたグルメとして、まず例に挙げられるのが金沢名物の「金箔のかがやきソフトクリーム」。コーンに乗せられた真っ白なソフトクリームに金箔まるまる1枚をまとわせた、見た目にも豪華で、ソフトクリームとしては高額な税込み1,189円(2026年4月現在)という、贅沢なスイーツです。

この名物を生んだのは、石川県で金箔の製造などを行う「箔一」という企業。北陸新幹線の開通を間近に控えた2015年の春、地元・金沢の伝統文化である「金箔」の魅力を多くの人に伝えるべく誕生したのが、「金箔ソフト」だったといいます。

箔一で作られる金箔は、1万分の1mmという驚異の薄さ。およそ2gの金を、職人の技によって畳一畳分の大きさになるまで延ばしていきます。サイズは4種類ほどあり、一番小さなもので10.9cm角。24Kの断切純金箔の場合、1枚の重さは0.035gで、価格は1,760円(2026年4月現在)からとリーズナブルに手に入るのが特徴です。また、純金以外ではさらに安く、18K金箔では1,023円から。21Kの金箔でも1,045円から展開しています。

資産用の金インゴットと、工芸用金箔の違い

昨今注目を集める“金”が用いられた金箔ですが、資産用である金インゴットとはその性質に大きな違いがあります。

そもそもインゴットとは、金・銀をはじめとする貴金属や鉄といった金属類を塊状にしたもの。主に資産用として用いられる金のインゴットには重量、ブランド名、シリアルナンバーなどの情報が刻印されていて、売買時の価値や信頼性を担保する重要な要素になっています。

一方で工芸用の金箔はその特性上、本物であってもインゴットのようにはっきりと刻印を金の表面へ入れることができません。金箔であっても買い取り対象になるケースはありますが、金の査定時に重視されるのは含有量や純度。金箔にはほかの金属が溶かされているものも少なくないうえ、まとまった買い取り金額を手にするためには相当量の金箔が必要になります。

場合によっては品質を精密に分析する必要があったり、そのために金箔を溶かさなければならなかったりすることも。金箔自体の資産としての信頼性や価値の高さを考えると、金インゴットとは明確な差があるといえるでしょう。

世界中で「金箔入り」が高い人気を誇る理由

資産という視点ではインゴットに劣る金箔が、なおも人々を惹きつけているのはなぜなのでしょうか。その理由として考えられるのが、金箔の“黄金色”に見出されてきた文化的な価値です。

古くから黄金色は、“富”や“権力”の象徴として扱われてきました。また古代エジプトでは、金が太陽神「ラー」と結びつけられるほど神聖視されています。実際に、当時の装飾品には金色を用いたものが多数存在。ただ「美しい」というだけではない、文化的・宗教的に重要な意味が金に込められていたといえるでしょう。

そのほか各国においても、金色のアイテムは特別な意味を持つものとされています。たとえばインドには、ヒンドゥー教の祭日や結婚式などのめでたいイベントの前に金製品を買うという風習があります。インドでも金は豊かさの象徴であり、先祖から代々受け継ぐものとして扱われてきました。そうした文化の影響か、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の2025年レポートによると、インドにおける金の需要は世界で2位となっています。

また、めでたい日に金色の装飾を用いるのは中国も同様。金は「繁栄」や「長寿」、「縁起のよさ」を象徴する色として、家族に金製品を贈ったり、赤ちゃんに金の装飾品を身につけさせたりと、ことあるごとにお祝いとして使われます。

そして日本においても、東大寺の大仏、金閣寺といった歴史的に重要な建造物に金色が用いられてきました。このような傾向は現代の日本人の感覚にも深く根付き、金という色に対する特別感を生んでいるとも考えられます。

さらに色彩心理学的な観点から見ると、金色には「成功」「華やかさ」「高級感」「自信」といった印象も持たれやすいのが特徴。高級志向の商品や贈答品などに金箔が使用される傾向にあるのも、金色の持つこのようなイメージが影響しているのかもしれません。

インゴットは「資産の防衛」、金箔は「心の贅沢」

時代を超えて人々から重宝されてきた“金”。なかでも金箔の歴史は日本においても古く、前述した金箔製造企業「箔一」によると、古墳時代にはすでに金箔を使用したアクセサリーが存在していたといいます。

さらに食用の金箔についても、奈良時代の文献に記述が存在。日本人は古くから金を食べたり、身につけたりすることで、金のさまざまな価値を享受しながら暮らしていたことがわかります。

なお箔一が提供する金箔ソフトは、もともと北陸新幹線の開通記念の限定商品として1,000個のみを販売する予定でした。しかし発売時にメディアによって大きく取り上げられたことで、金沢のご当地グルメとして一気に話題に。

目の前で繊細な金箔をソフトクリームにトッピングするパフォーマンスも相まって、今では“贅沢な体験”を提供するスイーツとして多くの観光客から愛されています。金沢における金箔ソフトのブームは、金箔がもたらす“資産”以外の価値が大いに表れた事例だといえるでしょう。

金の資産的な価値が注目される昨今。いざというときの「資産の防衛」としてインゴットが役立つといえるのに対し、“食べる金”である金箔は料理を通じて「心の贅沢」を味わえるアイテムです。性質の異なる“金”をうまく活用して、経済的にも精神的にも豊かな暮らしを目指してみてはいかがでしょうか。

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