金はインフレや円安に強く、資産を守る手段として人気が高まっています。
しかし、金投資と一口に言っても、純金積立や地金といった「現物投資」と、「投資信託」や「ETF(上場投資信託)」などの金融商品があるため、どれを選択するべきか迷う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、金の現物投資と投資信託、ETFの特徴を比較し、それぞれのメリット・デメリットを初心者向けに分かりやすく解説します。
どちらを選ぶべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
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金投資とは?

金投資とは、金(ゴールド)を資産として購入・保有し、資産の安定や値上がり益(キャピタルゲイン)を狙う投資方法です。
実物資産である金は、株式や債券のように企業の業績や倒産リスクに左右されにくく、通貨の価値が下がる局面でも資産価値を保ちやすい点が特徴です。
インフレや円安、金融不安などの「有事」に強い資産として世界中で信頼されています。
金投資には、現物を保有する「純金積立」や「地金」、金融商品を通じて運用する「投資信託」や「ETF」などの方法があります。
純金積立と現物購入は混同されやすいですが、購入方法や保管の仕方、手数料、売却時の自由度が異なります。
金投資の仕組みと種類

代表的な金投資の種類は、以下の5つです。
それぞれに仕組みや特徴、リスクが異なります。
純金積立
純金積立は、毎月一定額を積み立てて少しずつ金を購入していく方法です。
金価格が安いときは多く、高いときは少なく買う仕組み(ドルコスト平均法)により、平均購入単価を抑えやすいメリットがあります。
比較的少額から始められるため、最初にまとまった資金がなくても投資できる点が魅力です。
金を現物で受け取ることも可能ですが、多くの方はオンライン上で積み立て・保管を行い、値上がり益を狙って売却します。
保管の手間がなく、自動積立で無理なく資産形成できるため、初心者にもおすすめです。
現物保有(地金・コイン)
現物保有は、金の延べ棒(地金)や金貨(コイン)を実際に購入し、自分で保有する方法です。
手に取れる安心感があり、金そのものを資産として持ちたい方に向いています。
災害や金融システムのトラブルなど、いざというときでも価値が残る点が強みです。
一方で、保管には注意が必要です。
盗難リスクを避けるために自宅金庫や貸金庫を利用するケースが多く、その分コストがかかります。
また、売却時には店舗へ持ち込む必要があり、純金積立よりも流動性は劣ります。
投資信託・ETF
金価格に連動する投資信託やETFを購入すれば、現物を持たずに金相場へ投資できます。
証券口座から簡単に売買でき、1口あたり数千円〜数万円から始められる点も魅力です。
ETFは取引所に上場しているためリアルタイムで売買でき、流動性が高く、短期的な値動きに対応しやすいのが特徴です。
投資信託は、専門家(ファンドマネージャー)が運用を行うため、初心者でも安心して長期的に保有できます。
また、現物保有に比べて保管コストが不要で、税務上の扱いもシンプルです。
ただし、信託報酬などの運用コストが発生するため、長期的に保有する場合は費用面も比較して選ぶことが大切です。
金先物
金先物は、将来の金価格を予測して売買契約を行う商品です。
レバレッジを活用することで、少額資金でも大きな取引が可能ですが、相場変動が大きいためリスクも高くなります。
利益を狙える反面、予想が外れれば損失も拡大するため、短期的な値動きを見極めるスキルが必要です。
一般的には中上級者向けの投資手法といえます。
金鉱株
金鉱株は、金の採掘・精錬を行う企業の株式に投資する方法です。
金価格が上昇すると企業の利益が拡大しやすく、株価にもプラスの影響を与える傾向があります。
ただし、株式である以上、市場全体の景気動向や企業の経営状況にも左右されるため、金価格と必ずしも連動するわけではありません。
配当を受け取りながら、金価格上昇の恩恵も狙いたい投資家に向いています。
金の現物投資(純金積立・地金)と投資信託・ETFの違い

続いては、金の現物投資(純金積立・地金)と投資信託・ETFの違いについて、代表的な項目ごとに詳しく見ていきましょう。
投資対象
純金積立や地金は「金そのもの」に投資する現物資産です。
純金積立では、毎月一定額を拠出して少しずつ金を購入し、最終的にまとまった量の金を受け取る仕組みになっています。
地金や金貨のように、目に見える資産として保有できる点が特徴で、金融市場の混乱時にも価値を保ちやすいのが魅力です。
一方で、投資信託やETFはあくまで「金価格に連動する金融商品」であり、実物の金を直接保有するわけではありません。
ETFは市場で売買されるため、金価格が上がればETFの価格も上昇し、売却益を得られます。
現物のように手元に残らない代わりに、売買のしやすさや管理の手間の少なさがメリットです。
最低投資額
投資金額のハードルにも大きな違いがあります。
地金の場合は1kg単位での取引が一般的で、相場によっては1本あたり1,000万円を超えることもあります。
最近では500gや100g単位の少量販売もありますが、それでも数十万円以上が必要です。
純金積立は月々1,000円程度から始められるため、初心者でも無理なく投資をスタートできます。
また、投資信託やETFも少額投資が可能で、投資信託なら月100円から、ETFなら1口あたり数千円〜数万円で購入できます。
そのため、少額から始めたい方には、純金積立やETFのほうが向いているでしょう。
税金・課税制度
現物の金を売却して得た利益は「譲渡所得」となり、給与などの他の所得と合算して総合課税の対象となります。
ただし、譲渡所得には年間50万円の特別控除があり、利益が50万円以内であれば課税されません。
さらに、保有期間が5年を超える場合には、課税対象額が半額になる長期譲渡の優遇もあります。
出典:国税庁「No.3161 金地金の譲渡による所得」
一方で、投資信託やETFを売却して得た利益は、株式などと同様に「申告分離課税(税率20.315%)」が適用されます。
証券会社で特定口座を利用していれば、自動で税金が差し引かれるため、確定申告の手間がかからない点がメリットです。
また、NISA口座を利用すれば売却益が非課税となるため、長期運用を前提にするなら金ETFをNISAで保有するのも有効です。
出典:国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」
手数料・諸費用
現物投資では、購入時に「販売手数料(スプレッド)」が発生します。
また、純金積立の場合、毎月の積立額に対して手数料が上乗せされるのが一般的です。
さらに、預けた金を保管するための保管料が必要な場合もあります。
銀行の貸金庫を利用する場合も、年間数万円前後のコストがかかります。
一方で、投資信託やETFは比較的低コストです。
投資信託では「信託報酬」と呼ばれる運用管理費用がかかりますが、最近は低コスト型商品も増えています。
ETFの場合、取引時にかかる売買手数料だけで、保管料は不要です。
総合的に見ると、ランニングコストの低さではETFが優位と言えるでしょう。
流動性
投資信託やETFは、証券市場で自由に売買できるため流動性が高く、相場を見ながら柔軟に売却できます。
ETFは取引時間中であればいつでもリアルタイムで売買でき、価格変動に即応できる点も魅力です。
一方で、現物の金は売却先が限られます。
地金やコインを売るには、貴金属取扱店や金融機関に持ち込む必要があり、現金化までに時間がかかることもあるでしょう。
特に、価格が急落したタイミングでは、買取価格に差が出るケースもあるため、売却のタイミングを見極めることが重要です。
リスク
現物投資では、金を実際に保管するため、盗難・紛失のリスクがつきものです。
純金積立の場合も、運営会社が破綻した際には資産が保護されない可能性があります。
信託保全制度の有無を事前に確認しておくことが大切です。
投資信託・ETFの場合、金を直接保有しないため、盗難リスクはありません。
ただし、トラッキングエラーと呼ばれる金価格との乖離が発生することがあります。
また、為替変動の影響も受けるため、円高時には金価格が下落しやすい点にも注意が必要です。
金の現物投資(純金積立・地金)と投資信託・ETFはどっちがおすすめ?

以下は、金の現物投資(純金積立・地金)と投資信託・ETFの特徴を比較表としてまとめたものです。
| 純金積立・地金 | 投資信託・ETF | |
|---|---|---|
| 投資対象 | 金そのもの | 金融商品 |
| 最低投資額 | ・地金:数十万円〜 ・純金積立:月々1,000円程度〜 |
・投資信託:月々100円程度〜 ・ETF:1口数万円〜 |
| 税金・課税制度 | ・総合課税の対象 ・年間50万円の特別控除あり ・所有期間5年超で税負担軽減 |
・株式等の売却益と同様に申告分離課税(税率 20.315%) ・NISA口座での売却は非課税 |
| 手数料・諸費用 | ・購入手数料 ・スプレッド ・保管料 など |
・売買手数料 ・信託報酬 |
| 流動性 | ・買取店舗での売却が必要 ・現金化に時間がかかるケースも |
・市場でいつでも売買可能 ・流動性が高い |
| リスク | ・盗難、紛失リスク ・純金積立では運営会社の経営破綻リスク |
・盗難リスクなし ・金価格との連動にズレ(トラッキングエラー)が生じる可能性 |
金そのものを手元に持ちたい方や、長期的にコツコツ積み立てたい方には純金積立・地金が向いています。
現物資産として保有することで、インフレや円安など、通貨価値の下落時にも資産を守れる安心感があるでしょう。
特に純金積立は毎月少額から始められるため、初心者でも負担が少なく、時間をかけて確実に資産を形成できます。
一方で、地金はまとまった資金が必要ですが、災害や金融不安時に実物資産として価値を保つ点で強みがあります。
ただし、保管コストや盗難リスクを避けるために、貸金庫などを利用するケースが多い点も考慮しましょう。
少額から効率よく運用したい方や、売買の自由度を重視する人には投資信託・ETFが適しています。
現物を保管する必要がなく、証券口座を開設すればスマホから簡単に取引できる手軽さが魅力です。
長期で保有する場合は、NISAを活用することで売却益が非課税となり、運用効率を高められるでしょう。
また、ETFはリアルタイムで売買できるため、価格変動を見ながらタイミングを選べます。
ただし、金価格との連動に多少のズレが生じるトラッキングエラーや、為替変動の影響を受ける点には注意が必要です。
金投資には向き・不向きがある!現物投資(純金積立・地金)と投資信託・ETFの特性を理解して選ぼう

金は「有事の資産」と呼ばれ、株式市場が不安定なときほど価値が高まりやすい特徴を持ちます。
現物投資(純金積立・地金)と投資信託・ETF、どちらを選ぶかは、「安全性」と「手軽さ」のどちらを重視するかで選択肢が変わります。
金を守る資産として長期保有したい方や、実物を所有して安心したい方は現物投資(純金積立・地金)、少額から投資を始めたい方や運用効率を重視する方は、投資信託・ETFを選ぶのがおすすめです。
いずれの方法でも、目的を明確にして長期的な視点で運用を続けることが、安定した成果につながります。
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