金の価格が上昇を続けるなか、少額から始められる「純金積立」に注目が集まっています。
毎月一定額を積み立てて金を購入する仕組みは、初心者でも手軽に資産形成を始められる方法として人気です。
しかし、価格変動リスクや手数料など、注意したいデメリットもあります。
この記事では、純金積立の仕組みやメリット・デメリット、失敗しやすいポイントまでわかりやすく解説します。
純金積立とは?

純金積立とは、金を毎月一定額または一定量ずつ購入し、長期的に資産を形成していく方法を指します。毎月一定の金額で購入する「定額積立」か、毎月一定のグラム数を購入する「定量積立」のいずれかが一般的です。
少額から始められる手軽さが特徴で、1,000円程度から積み立てを始められるサービスもあります。
価格変動の影響を平均化できるドルコスト平均法を活用できるため、金の価格が高騰・下落を繰り返しても、長期的には安定した運用が期待できるでしょう。
積み立てた金は、純金そのものを現物として受け取る方法のほか、売却して換金することも可能です。
運営会社によって手数料や保管方法、受け取り時の対応が異なるため、契約前に内容をしっかりと確認しておきましょう。
純金積立のメリット

純金積立の主なメリットは、以下の4つです。
- 少額から始められる
- 価格変動リスクを抑えられる
- 現物を保管する必要がない
- 世界共通の価値を持つ、信頼性の高い資産を保有できる
それぞれについて、詳しく説明します。
少額から始められる
純金は1gあたりの単価が高いため、現物で購入するとなると、まとまった資金が必要です。
2025年10月30日現在、金の国内標準価格は1gあたり21,600円、10g分の純金を買うだけでも20万円を超える計算になります。
一方、純金積立であれば、毎月1,000〜3,000円程度からスタートできるため、まとまった初期費用を用意する必要がありません。
自動積立のため、購入タイミングを気にせずコツコツ継続できる点も魅力です。
投資初心者や、資産運用に不安がある方でも心理的なハードルが低く、無理なく継続できるでしょう。
価格変動リスクを抑えられる(ドルコスト平均法)
ドルコスト平均法とは、毎月一定の金額で金を購入し続けることで、価格が高いときには少なく、安いときには多くの量を買える仕組みです。
例えば、純金積立で毎月10,000円ずつ金を購入する場合、価格が10,000円/gの月には1g、8,000円/gの月には1.25g買うことができます。
毎月購入金額を一定にすることで、結果的に購入単価が平準化され、価格変動リスクの低減につながるでしょう。
| 項目 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 平均・合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 金価格 (1gあたり) |
10,000円 | 12,000円 | 8,000円 | 9,000円 | 平均 9,750円 |
| 購入金額 | 10,000円 | 10,000円 | 10,000円 | 10,000円 | 合計 40,000円 |
| 購入量 | 1.00g | 0.83g | 1.25g | 1.11g | 合計 4.19g (平均単価 9,546円/g) |
純金積立は、長期的に見ると平均購入単価が下がる傾向にあり、時間を味方につけて安定的に資産を増やせる点がメリットです。
株式投資や投資信託と同じように、長期での運用を目的とする方に適しています。
現物保管の負担がかからない
金の現物を自宅で保管する場合、盗難・火災・紛失といったリスクを考慮しなければなりません。
専用の耐火金庫を用意したり、貸金庫を利用するとなると、維持コストもかかります。
純金積立なら、購入した金は運営会社が責任を持って管理・保管してくれるため、個人で保管する手間やリスクを避けられます。
一定量に達した段階で「現物受け取り」を選べるサービスも多く、必要に応じてインゴットやコインなどに交換することも可能です。
世界共通の価値・信頼性が高い
金は、インフレや有事に強い資産とされており、世界中で価値が認められています。
株や債券とは違い、発行体の信用に依存しないため、政治的不安や経済危機の影響を受けにくいのが特徴です。
そのため、「有事の金」と呼ばれるほど信頼性が高く、資産防衛の目的で保有する投資家も多くいます。
特に近年は、円安や金融不安の影響で金の価格が上昇し、資産の一部を金で保有する「分散投資」の重要性が高まっています。
純金積立なら、信頼性の高い資産を少額から保有でき、将来的なインフレ対策にもつながります。
純金積立のデメリット

純金積立は、少額から始められる手軽さや信頼性の高さから、投資初心者にも人気の資産運用方法です。
しかし、仕組みを十分に理解しないまま始めてしまうと、思わぬ損失や後悔につながることもあります。
続いては、純金積立で特に注意したい6つのデメリットを紹介します。
手数料が高い
純金積立では、毎月の購入時に買付手数料がかかるのが一般的です。
運営会社によって異なるものの、買付手数料は購入金額の1.5〜2.5%程度が相場で、投資信託やネット証券の株式取引と比べると高めの水準となっています。
さらに、運営会社によっては、購入した金を預ける際の「保管手数料」や、預けていた金を受け取る際の「引出手数料」がかかる場合もあります。
金価格の上昇幅が小さい場合、手数料負担によって実質的な利回りがほとんどなくなる可能性もあるため、手数料については事前に必ず確認しておきましょう。
スプレッドが広く売却益が少ない
金の取引には「スプレッド(買値と売値の差)」があり、これも実質的なコストとして考える必要があります。
例えば、2025年10月30日時点では、金の小売価格(買値)が1gあたり21,600円、買取価格(売値)が21,409円と、その差は191円です。
| 区分 | 価格 (1gあたり) |
|---|---|
| 買値 (小売価格) |
21,600円 |
| 売値 (買取価格) |
21,409円 |
| スプレッド (価格差) |
191円 |
※最新の価格については、「本日の貴金属価格」をご覧ください。
つまり、購入した瞬間に1gあたり191円の損失が出ている状態からスタートすることになります。
短期間で売却しても利益が出にくいため、純金積立はあくまで長期保有を前提に、コツコツ積み立てるスタイルが基本です。
インカムゲインが得られない
現物資産である金には、株式の配当や預金の利息のような収益(インカムゲイン)は発生しません。
保有しているだけでお金が増えるわけではなく、利益を得るには売却して値上がり益(キャピタルゲイン)を確定させる必要があります。
そのため、金の価格が停滞している期間は、手数料だけが積み重なって実質的な損失になる可能性もあるでしょう。
定期的な収益を重視する方には不向きであり、長期的な資産保全や分散投資の一部として位置づけるのが現実的です。
短期で大きな利益を得にくい
純金積立は、安定性を重視した資産運用であり、短期的な値上がり益を狙う投資ではありません。
金は世界的な需要や為替、金利の動向に影響を受けるものの、株式や暗号資産のように急騰・急落することは少なく、価格変動が比較的緩やかです。
そのため、数ヶ月〜1年単位での短期売買ではほとんど利益が出ず、売買手数料やスプレッドでむしろ損失が出るケースもあります。
急騰を狙った短期投資では、期待外れになりやすいので注意しましょう。
価格下落リスクがある
「金は安定して値上がりする」と思われがちですが、過去には大幅な価格の下落もありました。
金の価格は世界の経済情勢や為替に大きく影響されるため、円高が進行すると円建ての金価格は下落する傾向にあります。
また、景気回復局面で株式市場が好調になると、資金が金から株へ流れる「リスクオン相場」となり、金価格が下がることもあります。
純金積立は元本保証ではないため、損失が出てしまう可能性もゼロではありません。投資リスクについて正しく理解しておくことが大切です。
運営会社の倒産リスクがある
純金積立を行う際には、信頼できる運営会社を選ぶことが大切です。
万が一運営会社が倒産した場合、購入した金の保管方法(寄託形態)によっては、資産が戻ってこないリスクがあります。
一般的に、純金積立の寄託形態は以下の2種類です。
| 消費寄託 (しょうひきたく) |
会社の資産と顧客の資産を区別せずに管理する方式 |
| 保管手数料はかからないケースが多い | |
| 倒産した場合には返還されないリスクがある | |
| 特定保管 (とくていほかん) |
顧客の資産を会社の資産と分離して保管する方式 |
| 所有権は顧客側にあり、保管手数料がかかるケースが多い | |
| 倒産した場合でも返還される可能性が高い |
安全性を重視するなら、特定保管を採用している運営会社を選びましょう。
金融庁登録のある会社や、長年の運用実績を持つ大手企業を選ぶと安心です。
純金積立で失敗しやすいポイント

純金積立は、インフレ対策や長期的な資産形成の方法として人気があります。
しかし、仕組みをよく理解せずに始めてしまうと「思ったより増えない」「損をした」と感じるケースも少なくありません。
ここでは、純金積立で失敗しやすい4つのポイントと、失敗を防ぐ方法を紹介します。
途中で積立をやめてしまう
純金積立のメリットは、長期的に継続することでドルコスト平均法 の効果を得られる点です。
しかし、金価格が一時的に下落した際に不安になって積立を中断してしまう人も多く、その結果、平均購入単価を下げるチャンスを逃してしまうことがあります。
例えば、金の価格が高いときに積立を始め、数ヶ月後に値下がりしてやめてしまうと「高値づかみ」で終わるリスクが高まります。
金は短期的には上下を繰り返すため、価格が下がったときこそ買い増しのチャンスと捉え、長期的な視点で続けることが成功のポイントです。
ハイリターンを求めすぎている
純金積立は、価格変動の激しい株やFXとは異なり、安定した値動きを特徴とする資産です。
そのため、「短期間で大きく儲けたい」と思って始めると、期待外れに感じる可能性があります。
前述の通り、純金積立には買付手数料やスプレッドが発生し、利益はあくまでキャピタルゲインのみのため、短期間でリターンを出すのは難しいのが現実です。
純金積立は長期的な資産保全を目的にした運用スタイルであることを理解しておきましょう。
毎月の積立額が高すぎる
純金積立は1,000円前後の少額から始められるのが魅力 ですが、金価格の上昇に刺激されて、無理に高額で始めてしまう方もいます。
毎月の積立額が高すぎると、生活費を圧迫して続けられなくなるリスクがあるため、注意が必要です。
積立の中断はリスク分散の効果を弱めるため、最初から余裕を持った金額で設定することが大切です。
また、投資金額を見直しながら継続する柔軟さも求められます。
運営会社の寄託形態を理解していない
前述の通り、純金積立では、購入した金の保管方法(寄託形態)を理解していなければ、大きなトラブルに発展するおそれがあります。
寄託形態を調べずに申し込んでしまうと、「運営会社が倒産し、純金が戻ってこなかった」「保管料が発生して想定以上のコストになった」という結果につながりかねません。
特に、所有権が運営会社側にある「消費寄託」を採用している場合は、リスクを十分理解したうえで契約するようにしてください。
純金積立が向いている人

純金積立が向いているのは、以下のような方です。
- コツコツ資産形成したい人
- 投資初心者で少額から始めたい人
- 長期的な資産形成を目指す人
- インフレや為替リスクに備えたい人
- リスク分散をしたい人
- 現物保管の手間を避けたい人 など
純金積立は、毎月一定額を自動的に積み立てる仕組みのため、時間を味方につけた長期運用をしたい方に向いています。
株や投資信託のように値動きを常に気にする必要がなく、価格が高い時も安い時も同じ金額で購入を続けることで、平均購入単価を抑えられるのが特徴です。
インフレや円安時に金の価格が上がりやすいため、長期的な資産防衛やリスク分散の一環として取り入れる方も増えています。
運営会社が現物保管を代行してくれるため、盗難リスクや管理の手間を避けたい方にも向いているでしょう。
大きく増やすというよりも、安定して守る資産形成を目指す方におすすめです。
純金積立をやめた方がよい人

純金積立が向いていない方、やめた方がよい方は、以下の通りです。
- 短期間でハイリターンを狙いたい人
- 手数料やコストを抑えたい人
- 安定収入(利息・配当)を求める人
- リアルタイム取引がしたい人
- すぐに売却して現金化したい人
純金積立は、価格変動が緩やかで、配当や利息といったインカムゲインもないため、短期的な利益を求める方には向いていません。
購入や保管には手数料がかかり、スプレッドもあるため、短期間で売却すると手数料負担が利益を上回ることがあります。
リアルタイム取引や即時換金を希望する場合は、株式やFXなど別の投資商品の方が適しているでしょう。
純金積立はあくまで長期・低リスクの資産保全を目的とした運用であり、短期で稼ぐ目的とは相性が悪い点を理解しておくことが大切です。
純金積立はデメリットや注意点を把握してから始めよう

純金積立は、長期的な資産形成を目指す方におすすめの選択肢ですが、始める前にデメリットや注意点を理解しておくことが大切です。
購入手数料や保管手数料などのコストは他の投資商品より高いため、短期的な利益を期待してスタートすると、失敗するリスクが高まります。
また、手数料や寄託形態、運営会社の倒産リスク等も、理解しておくことが重要です。
ゴールドリンクの「ゴールド積立くん®」は、最初に1kg分の価格を確定させるという画期的なシステムを採用した純金積立です。
最初に価格を確定させるため、積立期間中の金価格の変動に左右されることなく、安定した積立を実現できます。
購入した段階で、いつ積立が終わるのかもはっきりするため、計画的な資産形成を目指す方におすすめです。ゴールド積立くん®について、詳しくはお気軽にお問い合わせください。