金は、インフレや景気変動に強い「安全資産」として、長年にわたり多くの投資家から注目を集めています。
近年では、初心者でも少額から始められる純金積立や金ETFなど手軽な購入方法が増え、より身近な投資対象となりました。
しかし、購入のタイミングや保管方法、手数料の違いを理解せずに始めてしまうと、思わぬ損失につながるおそれがあります。
この記事では、金を購入する際の注意点や、初心者におすすめの買い方をわかりやすく解説します。
購入前に知っておきたい金投資の注意点

金の価格は世界的なインフレや通貨不安の影響を受けて長期的に上昇傾向にあります。
しかし、「金は必ず値上がりする」「損をしない安全な資産」と思い込むのは危険です。
相場の変動リスクや保管コスト、売却時の税金など、購入前に理解しておきたい点がいくつかあります。
まずは、金を購入する際に特に注意したい6つのポイントを紹介します。
信頼できる業者から購入する
金を購入する際は、信頼性の高い業者を選ぶことが最も重要です。
悪質な業者の場合、金の純度が表示より低かったり、偽物を売りつけられるリスクがあります。
金の販売で長年の実績がある大手企業や金融庁登録事業者、ファイナンシャルプランナーが在籍する会社を選ぶと安心です。
また、ネット販売を利用する場合も、特定商取引法に基づく表示や、会社の所在地・代表者名などが明記されているか確認しましょう。
手数料・スプレッド・税金に注意
金投資では、以下のようなコストが発生します。
- 買付手数料
- 口座管理料
- 保管料
- 引出手数料
- スプレッド
- 譲渡所得税 など
買付手数料や口座管理料は、金を購入する際に発生する費用です。
引出手数料は、保管している地金を事業者から引き出す際にかかります。
スプレッドとは買値(小売価格)と売値(買取価格)の差額です。
設定は取引業者によって異なり、一般的に購入価格よりも売却価格が数%低く設定されています。
そのため、短期売買では利益を得にくく、長期保有を前提に考える必要があります。
さらに、金を売却して利益が出た場合は「譲渡所得」として課税対象になります。
金の譲渡所得税は、保有期間が5年以内か5年超かで金額が大きく変わるため、注意しましょう。
短期譲渡(5年以内)の場合は、利益全額が総合課税の対象となり、所得が多い人ほど税率が高くなります。
一方で、長期譲渡(5年超)の場合は課税対象額が1/2に軽減される仕組みです。
長期保有のほうが税制面でも有利になるため、金を投資目的で購入する場合は、最低でも5年以上の保有を見据えた運用が基本になるでしょう。
保管方法とセキュリティを検討する
地金や金貨などの現物を自宅で保管する場合、盗難や火災のリスクを考慮しなければなりません。
防犯金庫や防犯カメラを導入し、万が一に備えることが重要です。
事業者による預かり保管を利用すれば、セキュリティ面で安心できます。
ただし、その分費用がかかるため、コストと安全性のバランスを考慮して、適切な保管方法を選びましょう。
インカムゲインは得られない
金を購入する前に、金投資で利益を得る仕組みは、正しく理解しておく必要があります。
金には、株式や投資信託のように配当金や利息といったインカムゲインはありません。
金投資の収益は、売却時の値上がり益(キャピタルゲイン)のみです。
保有期間中に得られる収入はないため、生活費を賄う目的には適さないでしょう。
純金積立などで毎月コツコツ購入する長期分散投資として取り入れるのが現実的です。
200万円以上の購入には身分証明書が必要
200万円を超える金の現金購入には、「犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)」に基づき、本人確認書類の提示が義務付けられています。
運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどの公的書類の提出が求められ、事業者側も法律に従って取引記録を保存する義務があります。
出典:警察庁刑事局組織犯罪対策部組織犯罪対策第一課犯罪収益対策室「犯罪収益移転防止法の概要」
また、現金での高額取引は警察庁・金融庁の監視対象であり、本人確認ができない場合は取引を断られることもあります。
参考:大阪府警HP「宝石・貴金属等取扱事業者の義務等_取引時確認義務(200万円を超える現金取引に限る)」
200万円以上の購入を検討している場合は、あらかじめ必要書類を準備しておくとスムーズです。
銀行振込や純金積立など、現金以外の方法で購入する場合でも、事業者によっては身分証明書の提示を求められます。
価格変動リスクと流動性も考慮する
金は「安全資産」と呼ばれる一方で、価格は常に一定ではなく、国際情勢や為替レートの影響を受けて変動します。
金の取引は世界的に米ドル建てで行われており、ドルの価値が下がる(ドル安)局面では金価格が上昇しやすい傾向にあります。
また、日本で金を購入する場合は、円とドルの為替レートも影響します。
例えば、円高のときは海外の金を安く購入できますが、円安になると同じ量の金でも円換算の価格が上がります。
一般的に、金の売買タイミングの目安は以下の通りです。
- 買い時:ドル建て金価格が安く、為替がドル安・円高のとき
- 売り時:ドル建て金価格が高く、為替がドル高・円安のとき
コストやリスクも理解したうえで、余裕資金の範囲で長期保有することが、金投資を成功させるポイントです。
金を買うならどこがいい?初心者におすすめの買い方

金の購入方法には、さまざまな選択肢があります。
自分の資金力や目的に合わせて選ぶことが大切です。
ここでは、初心者におすすめの金の買い方を3つ挙げ、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。
現物投資(地金・コイン)
現物投資とは、地金(インゴット)やコイン(金貨)などの実物を購入して保有する方法です。
手元に資産としての金が残るため、インフレや金融不安への備えとして人気があります。
信頼できる事業者を通じて購入すれば、品質や取引の安全性も確保できるでしょう。
一方で、現物は盗難・紛失・火災といったリスクを伴うため、保管方法の検討が必要です。自宅での保管に不安がある場合は、業者の特定保管サービスや銀行の貸金庫などの利用も検討しましょう。
2025年10月31日時点での国内標準小売価格は1gあたり21,871円、地金の最低取引単位は5gからのため、10万円以上のまとまった資金が必要になります。
現物投資は「金を実際に持ちたい」「長期的に資産を守りたい」方におすすめの購入方法です。
純金積立
純金積立は、毎月一定額を積み立てて、少しずつ自動的に金を購入していく方法です。
月1,000円から始められるサービスもあり、金投資を初めて行う方にも人気があります。
純金積立で言われる一般的なメリットは、価格が高いときは少なく、安いときは多く買う「ドルコスト平均法」が働く点です。長期的に購入を続けることで、価格変動リスクを平準化しやすくなります。
また、ネット証券や銀行を通じて簡単に申し込める手軽さも魅力です。実際に地金を引き出すこともできるサービスもあり、積立ながら現物保有も可能です。
ただし、毎月の積立額に対して一定の手数料がかかる点に注意してください。
純金積立は、長期的な資産形成を目指す方や、将来的に金を保有したい方におすすめの投資手法です。
投資信託・金ETF
投資信託や金ETF(上場投資信託)は、金の価格に連動する金融商品を通じて、間接的に金に投資する方法です。
証券口座さえあれば、数千円単位から購入でき、株式と同じように取引時間中に売買できます。現物を保管する手間がなく、流動性が高いのが大きなメリットです。
ただし、実物の金を引き出せないため、手元に残る安心感は得られません。
また、資産額に応じた信託報酬や管理費が発生する点に注意しましょう。
投資信託や金ETFは、短期的な値動きを見ながら柔軟に取引したい方や、手軽に分散投資したい方に向いています。
金投資で失敗したくない!意識するべき3つのポイント

金の購入は、資産を守る手段として注目されていますが、あくまで値動きのある投資商品です。
安定資産とはいえ、価格変動や為替の影響を受けることもあり、安易に購入すると損をする可能性もあります。
ここでは、初心者が純金積立をスタートするうえで失敗しないために意識すべき3つのポイントを解説します。
運用の目的を明確に
「なんとなく人気があるから」「値上がりしそうだから」といった理由で、金を購入するのは避けましょう。
購入前に、なぜ積立するのかを明確にしておくことが大切です。
- インフレ対策
- 資産分散
- リスクヘッジ など
金は国際的に価値を保ちやすいため、インフレにより通貨の価値が下がった場合も、実質的な購買力を守る効果があります。
また、株式市場が下落すると金価格が上昇するケースが多いため、ポートフォリオ全体の安定化にも役立つでしょう。
ただし、金は配当や利息が発生しないため、価格変動による売却益(キャピタルゲイン)が唯一のリターンです。
「短期で儲けたいのか」「長期的に資産を守りたいのか」といった目的を定めることで、自分に合った購入方法や保有量の目安が見えてくるでしょう。
リスク分散を徹底
金の価格は、世界情勢や為替レートに左右されやすいです。
ドル安や地政学リスクが高まると上昇しやすい一方で、世界経済が安定すると下落する傾向にあります。
そのため、一度に多額の金を購入するのはリスクが高い行動と言えるでしょう。
金投資でリスクを軽減するために、以下のような買い方を意識することが大切です。
- 購入のタイミングを分散する
- 資産全体でのバランスを取る(株式や債券と併用)
定期的に一定額を購入する純金積立であれば、ドルコスト平均法により 高値づかみを防ぐことができます。
価格が高いときは少なく、安いときは多く買う仕組みのため、長期的に見ると平均購入単価が下がりやすいのもメリットです。
コスト構造を理解する
金投資には、購入方法ごとにさまざまなコストが発生します。
特に、手数料やスプレッドは利益に直接影響するため、軽視できません。
【金投資方法別にかかる主なコスト】
| 投資方法 | 金投資にかかる費用 |
|---|---|
| 現物投資 |
・口座管理料 ・保管料 ・スプレッド など |
| 純金積立 |
・買付手数料 ・口座管理料 ・スプレッド など |
| 投資信託・金ETF |
・信託報酬 ・売買手数料 など |
現物投資では、購入時にかかる手数料や保管料のほかに、売却時に発生する譲渡所得税についても理解しておくことが重要です。
また、純金積立や投資信託・金ETFは、少額から始められるため初心者に人気ですが、手数料が利益を圧迫することもあります。
どのタイミングでどのようなコストがかかるのか、事前にしっかりと把握しておきましょう。
金を買うなら注意点やデメリットも把握しておこう

金は、「有事の金」や「安全資産」と呼ばれ、世界的にも信頼される資産の一つです。
しかし、金の購入はあくまでも資産形成の一つです。
金投資をする際には、メリットだけでなく、注意点やデメリットを正しく理解しておきましょう。
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