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金(ゴールド)を買うと「消費税」がかかるのは損?得?売却時に戻ってくるカラクリ【税理士が解説】

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金(ゴールド)を買うと「消費税」がかかるのは損?得?売却時に戻ってくるカラクリ【税理士が解説】

資産防衛やインフレ対策として注目される「金(ゴールド)」。しかし、実際に購入を検討すると、多くの人が最初に疑問に思うのが「消費税」です。「投資なのに消費税がかかるのは損では?」「金を買うときに10%も税金を払うの?」確かに、金を購入する際には消費税がかかります。しかし実は、金は売却する際にもその消費税分が上乗せされて戻ってくる、少し特殊な性質を持った資産です。本記事では、辻哲弥氏が公認会計士・税理士の視点から、「金と消費税」の仕組みについてわかりやすく解説します。

なぜ「お金(通貨)」は無税で、「金」には税金がかかるのか?

まず、根本的な疑問を解決しておきましょう。「なぜ通貨には消費税がかからないのに、金には消費税がかかるのか」という点です。金は古くから「価値を保存する資産」として知られており、歴史的には通貨の役割を担ってきたこともあります。そのため、「お金のようなものなのに、なぜ税金がかかるのだろう」と不思議に感じる人も少なくありません。

結論からいうと、日本の消費税制度では次のような扱いの違いがあります。

・通貨=支払い手段
・金=商品(資産)

この違いが、課税の有無を分けるポイントです。

通貨は、あくまで物やサービスを購入する際の「交換手段」に過ぎません。1万円札を誰かに渡しても、単に価値の受け渡しをしているだけ。それ自体が新しい価値を生み出す取引とはみなされません。つまり、なにかを消費したことにはならないのです。

そのため、日本の消費税制度では、通貨そのものの売買や交換は消費税の対象外とされています。もし通貨の交換にまで消費税が課されてしまうと、日常的な経済活動そのものに税金がかかることになり、流通が著しく阻害されてしまうからです。

一方で、金は法律上「商品」あるいは「資産」として扱われます。金の延べ棒(インゴット)や金貨などは、宝石や貴金属と同じように、物品の売買として扱われるのです。金の延べ棒を購入する行為は、宝石や時計、貴金属アクセサリーなどを購入する行為と同じく、「商品を購入する取引」とみなされます。そのため、消費税法上は通常の物品取引と同様に、消費税の課税対象となります。

ここで重要なのは、税法上の考え方として、「金は“お金の代わり”ではなく、“価値を持つモノ”」として扱われている点です。つまり、金は投資対象であると同時に、法律上はあくまで「商品」や「資産」として扱われるため、売買の際には消費税が課される仕組みになっています。

なお、このような税制は日本だけの特殊な制度というわけではありません。多くの国でも、金地金の売買については消費税や付加価値税(VAT)の対象になるケースがあります。ただし、国によっては投資用金地金の税制を優遇している場合もあり、税制の扱いは各国で異なることに注意してください。

このように、通貨と金は「価値を持つ」という点では似ているものの、税法上の位置づけが大きく異なります。その結果として、通貨には消費税がかからず、金には消費税が課されるという違いが生まれているのです。

消費税10%のカラクリ…実は「一時的に預けている」だけ?

現在、日本の消費税率は10%です。そのため、金(ゴールド)を購入する際にも、この消費税が価格に上乗せされます。

たとえば、投資目的で100万円の金を購入する場合を考えてみましょう。購入時の支払いは次のようになります。

金価格:100万円
消費税:10万円
支払総額:110万円

この時点だけをみると、「投資なのに、最初から10万円も税金を払うのは損では?」と感じる人も多いでしょう。実際、株式投資や投資信託などでは購入時に消費税がかからないため、金だけが特別に不利なようにみえるかもしれません。

しかし、金の特徴はここからです。金は売却する際にも、その時点の金価格に対して消費税が上乗せされて支払われます。つまり、購入時だけでなく、売却時にも同じ仕組みが適用されるのです。

先ほどと同じ条件で、金の価格が変わらず100万円のままだった場合を考えてみましょう。売却時には次のような計算になります。

買取価格:100万円
消費税:10万円
受取額:110万円

このように、売却時には金価格に対して消費税分が加算された金額が支払われます。

その結果、購入時に支払った消費税10万円は、売却時に同じ金額として回収される形になります。つまり、消費税は「一方的に取られる税金」というよりも、売買の過程で一時的に預けているような性質を持つと考えられるでしょう。

もちろん、実際の取引では金価格は日々変動するため、売却時の価格が購入時と同じとは限りません。価格が下がればその分の損失が出る可能性もありますし、逆に価格が上がれば値上がり益を得ることもあります。

それでも、少なくとも消費税については、「買うときだけ負担する税金ではなく、売るときにも同じ仕組みで戻ってくる」という特徴があります。

これは、金が税法上「課税資産」として扱われているためです。課税資産は、売買が行われるたびに消費税が加算される仕組みになっており、金もそのルールに従って取引されます。そのため、金の消費税は「購入時にだけ負担するコスト」と誤解されがちですが、実際には売却時にも同様に反映される税制上の仕組みになっているのです。

将来、消費税が15%になったら「金の持ち主」は得をする?

もう一つ、金の面白い特徴があります。それは、消費税率が上がると、金の売却価格にも影響するという点です。

消費税10%のときに金を購入し、もし今後、日本の消費税が15%に引き上げられたタイミングで売却をすると、どのような現象が起きるでしょうか。

仮に金価格が同じ100万円だった場合、

購入時
100万円+消費税10万円=110万円

売却時
100万円+消費税15万円=115万円

となり、税率差の5%分が利益のような形で受け取れる可能性があります。

もちろん、実際には金価格自体も変動するため単純ではありません。しかし、消費税率の上昇は金の保有者にとって有利に働く場合があるでしょう。

長期保有なら「インフレ」と「増税」を味方につける

日本では、少子高齢化の進展や社会保障費の増大を背景に、将来的な消費税率の引き上げが議論されることも少なくありません。そうした将来予測を踏まえると、金をポートフォリオに加えることは一定の合理性を持っています。

・インフレへの備え
・通貨価値の下落への対策
・消費税率上昇の影響

特に金は、世界共通の資産であり、長期的に価値を保ちやすく、有事に強いといった特徴があり、資産分散の一つとして活用されるケースが多いです。

金は「消費税の仕組み」が特徴的な資産

金の消費税は、単なる「購入コスト」ではありません。売買の仕組みのなかで行き来し、時には税率の変更によって保有者にメリットをもたらすこともある、非常にユニークな特徴を持っています。 また、金は株式や債券、不動産などの資産とは異なり、消費税という税制の影響を直接受ける数少ない資産でもあります。こうした特徴は、ほかの金融資産にはあまりみられないものです。

もちろん、投資目的で金を購入する場合、金価格そのものの変動リスクを忘れてはなりません。金価格は、世界経済や為替、インフレなどさまざまな要因によって変動します。そのため、消費税の仕組みだけで投資判断を行うべきではありませんが、税制の特徴を理解しておくことは資産運用を考えるうえで有益です。

金は古くから「価値の保存手段」として世界中で利用されてきました。インフレや通貨価値の変動に対する備えとして、株式や不動産などとは異なる性質を持つ資産でもあります。こうした特性に加え、日本の税制における消費税の仕組みを理解しておくことで、金を資産ポートフォリオの一部としてより合理的に活用することができるでしょう。

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