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親の遺品整理で「金」が出てきたら?兄弟間で揉めないための「遺産分割」のリアル

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親の遺品整理で「金」が出てきたら?兄弟間で揉めないための「遺産分割」のリアル

亡くなった親の部屋から、ひっそりと出てきた「金」(インゴット、金塊、金貨)。見つけた瞬間は幸運に思えるかもしれませんが、実は喜んでばかりもいられません。預貯金と違って存在が把握しにくい金は、兄弟姉妹間における相続トラブルの強力な火種になりがちだからです。「誰が引き継ぐべきか?」「評価額はいつの時点を基準にするのか?」。弁護士の北畑素延氏が具体的な相続トラブルを紹介するとともに、金の相続にまつわる実務的な注意点を解説します。

金は相続税と遺産分割の対象になる

一口に「金」といっても、その保有形態はさまざまです。金塊やインゴット、金貨といった「現物」で保有しているケースもあれば、証券会社や銀行、貴金属会社などを通じて「純金積立」やその他の投資商品といった形で保有している場合もあります。

いずれの保有形体であれ、金が財産的価値を有することに変わりはありません。したがって、祭祀財産である例外的場合を除き、金は相続財産として遺産分割や相続税の対象となります。

トラブルのもと…金の評価額はいつの時点?

遺産分割の場面では、金の評価をいつの時点で行うかが重要です。実は、相続の目的によって評価の基準日は以下のように異なります。

  • 遺産分割協議を行う場面:「現在(遺産分割時)」の評価額を基準にします。
  • 遺留分侵害額請求を行う場面:「相続開始時(被相続人の死亡時)」の評価額を基準にします。
  • 相続税の申告を行う場面:基本的に「相続開始時(被相続人の死亡時)」の取引業者の買取価格をベースに算出します。

このように、同じ相続でも、手続きの場面で評価する時点が異なるのでご注意ください。

現物の金は誰が引き継ぐ?

もし、金が金塊やインゴット等の現物であった場合、複数の相続人のうち、誰が取得するのでしょうか。法的には、遺産分割協議が成立するまでは、金もほかの動産と同じく、複数の相続人が法定相続分の割合で共有します。遺産分割協議等によって、金を取得する相続人が決まれば、その相続人が金を取得することになります。

しかしながら、金の価格が高騰している現状では、金の取得を希望する相続人が複数いるため協議がまとまらない、あるいは、金の値段が上がる(あるいは下がる)のを見越して遺産分割協議を長引かせる等の駆け引きが行われる等のさまざまな理由で、遺産分割協議が揉める可能性があります。

なお、「金自体を切断して物理的に分ける」という方法は、考えられなくはないですが、資産価値を損なうため現実的ではありません。

そこで検討したいのが、「精錬加工」という方法です。これは、自分の金を一旦溶かし、小さなサイズに作り変える加工のことです。これなら、金の価値や純度を下げることなく小口化でき、分けやすくなるというメリットがあります。費用がかかるのがネックですが、相続に備えて、親が元気なうちに準備しておくというのも一つの選択肢かもしれません。

親の「金」がなくなった?

現物の金の場合、「金の有無そのもの」を巡って争いが生じることもあります。たとえば、親の部屋や金庫にあった金の延べ棒が無くなっているといったケースや、相続人である兄弟姉妹の1人が親から「金をもらった」と言って、「金が遺産でない」と主張し、争いになるといったケースが想定できます。

「なにが遺産か」という遺産の範囲を巡って争ってしまうと、当事者で協議がまとまらないため、仮に遺産分割調停を行ったとしても、遺産分割の前提問題という課題が降りかかってきます。なぜなら、上記事例では、金という遺産の範囲に争いが発生し、遺産分割の範囲が確定できず、遺産を分割する前提条件が欠けるからです。

遺産分割の前提に争いがあると、遺産分割調停は終了し、別途、民事訴訟で遺産の範囲を確定する必要があります。つまり、遺産分割調停から民事訴訟、さらに遺産分割調停と、3つの裁判手続きを経る事態になってしまいます。それに伴い、時間やコストがかかり、場合によっては、解決に2年から3年、さらにはもっと時間がかかるかもしれません。

なお、遺産の範囲を確定する訴訟では、立証のハードルがあることにも注意してしましょう。

そのため、現物の金が相続の対象となる場合は、問題となっている金が被相続人のもので、かつ、その数量をきちんと特定できるようにしてください。これは、相続税の申告の際にも重要になってきます。

親が「純金積立」をしていた場合の盲点

他方、親が金を純金積立等で保有していた場合、現物を目で確認できないため、相続人である子は、親が金を保有していることすら知らない場合があります。前述のとおり、金は相続税の対象となりますから、金も遺産として相続税申告しなければなりません。知らずに放置していると、「申告漏れ」として税務調査が入ったり、納税額が増えたりする可能性があるので、要注意です。

では、どうやったら、純金積立等を発見できるでしょうか。以下のポイントを確認してください。

  • 親の銀行預金の明細や通帳:証券会社や貴金属会社への定期的な引き落としがないか。
  • 親宛てに届いた書類やメール:証券会社や貴金属会社等からの書面やメール、あるいは、見知らぬ会社から取引報告書あるいは取引明細が親に届いていないか。

銀行の通帳や過去の明細、郵便物あるいはメールには、隠れた資産を見つける重要なヒントが隠されています。場合によっては、パソコンやスマホ等の携帯電話の連絡先を確認するようにしてください。

自分の金で子どもを困らせないために

将来、自分が遺す側の立場になったときは、残された家族が困らないよう備えておくべきです。

現物を保有している場合は、他人の財産と混入しない方法で管理しましょう。純金積立等を利用している場合は、取引に関する書類を適切に保管しておくことが、思わぬトラブルを防ぎ、家族に迷惑をかけない配慮となります。

場合によっては、遺言を作成し、自分の金の具体的内容や保管先、そして、金を誰に相続させるのかを明らかにしておくことも、死後の争族といったトラブルの防止に有効と思われます。

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